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2023.12.18

Work Place

今、オフィスの主流になりつつある「ABW」
とは?

01.

時間や場所に縛られない
新しい働き方「ABW」

朝、決まった時間に会社へ行き、割り当てられたデスクで仕事をする。こうした画一的な働き方が変化してきている。それを促しているのがアクティビティ・ベースド・ワーキング(Activity Based Working、通称ABW)という新しい働き方だ。オランダのコンサルティング会社・ヴェルデホーエン社(Veldhoen+Company)によって提唱された概念で、ワーカーが業務内容に合わせて自由に働く場所や時間を選択することができるというもの。個人の働きやすさや主体性を尊重しつつ、生産性の向上も目指せることから、多くの企業で導入が進んでいる。
そもそも業務と一口にいっても、その内容は多岐に渡る。クライアントとの折衝なのか、資料作成なのか、業務によって働き方が変わってくるのは当然のこと。業務時間やデスクに束縛されず、それぞれが最適な形で業務を遂行していくことでベストパフォーマンスを発揮できるというのがABWの考え方だ。

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間違えやすいフリーアドレスとの違い

ABWとよく似ている言葉に「フリーアドレス」がある。フリーアドレスとは、オフィスで固定のデスクを持たずに自分の好きなスペースで働くワークスタイルのこと。あくまで社内に限った話だが、ABWの場合はオフィスの中だけにとどまらない。自宅やコワーキングスペース、カフェ、サテライトオフィスなども働く場所の選択肢に入り、業務内容や気分に合わせてより柔軟に働く環境を変えることができる。

02.

メリットとデメリットには
何がある?

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ABWを導入するメリット

1ワーカーのモチベーション向上

社員が自発的に業務に適した環境で働くことでスムーズに仕事ができるようになり、生産性がアップ。プライベートの用事や家族との予定も立てやすくなり、理想的なワークライフバランスを実現できることで、ストレスも溜まりにくくなる。

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2人材確保

通院や育児・介護などで、これまでは休職するか退職するしか選択肢がなかったという人でも、個人の事情にあった働き方が可能になる。会社への満足度が高まり、人材の定着率がアップするだけでなく、企業イメージが高まることから優秀な人材を獲得しやすくなる。

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3コミュニケーションの活性化

働きやすさを第一に考えることで、協働作業や部署を超えたコミュニケーションがしやすくなる。また、いつもとは違う場所で働くことで、今までは思いつかなかったような新たなアイデアが生まれやすくなるというメリットも。

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4コスト削減

自宅やカフェなど働く場所の選択肢がオフィス以外にも広がることで、1人1台のデスクを用意する必要がなくなる。什器や備品のほか、水道光熱費や通勤費にかかるコストの削減、さらにはペーパーレス化も期待できる。

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ABW導入にあたっての課題

1勤怠管理

主体性を持って自由に働ける反面、具体的な労働時間や仕事内容を上司が把握しにくい。クラウドツールを活用した新しい勤怠管理の導入や、成果をもとにした人事評価の構築など、社内ルールを整備しておく必要がある。

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2セキュリティ対策

オフィス外で仕事をすることが増えるため、パソコンや業務ツールの紛失、顧客情報や社外秘の情報漏洩の可能性がある。社員のリテラシー向上に向けた取り組みやセキュリティ対策の導入が欠かせない。

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03.

実例:関電不動産開発による
ABW視点オフィス

関電不動産開発でもABWを採用したオフィスづくりを導入している。その一つが、「一人ひとりが自分に合った働き方ができる」をコンセプトにした自社のリニューアル。ここでは、その特徴的なスペースを3つ紹介する。

1ICOIゾーン

オフィス中央にはミーティングスペースを配置。リラックスもできる設えで社内コミュニケーションの場としても活用されている。中央入り口の奥にアクセントとして置かれたパラソルはオフィスキッチンの象徴的な存在で、カフェのようにくつろげると社内でも評判だ。

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2FOCUSゾーン

開放感のあるICOIゾーンとは対照的に、一人で集中して作業をするために設けられたスペース。業務の内容やシーン、気分によって使い分けることができる。個別ブース席と完全プライベート空間をそれぞれ設置。

3WEBゾーン

WEB会議専用のスペース。関電不動産開発が展開するシェアオフィスの「WORKING SWITCH ELK(ワーキング スイッチ エルク)」でも見られるような一人での会議に対応した個別ブースと、複数での参加が可能なグループブースがある。規模やシーンごとに選択することによって、効率的な会議室の活用が可能になった。

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リニューアル後は、「ミーティングしやすくなった」「開放感のあるミーティングスペースはアイデアが出やすく、若手社員でも発言しやすい雰囲気」「異なる部署間のコミュニケーションが増えた」という声があがっている。新たな仕事の創造、働き方の意識・行動改革、コミュニケーションの活性化など、ABW導入の効果は目に見えて明らかである。

04.

オフィスは与えられるものから、
自ら選択するものへ

今までワーカーにとって与えられるものだったオフィス。しかし、今回紹介したABWという新しい働き方が浸透することにより、ワーカー自身が自分の体調やモチベーションを管理し、成果を最大化させる環境を自ら選択できる時代になってきている。
生産性の向上、モチベーションの向上、人材の確保といった経営課題に対して、一人ひとりが働きやすい環境を整備していくことは有効な策のひとつ。さまざまな選択ができる時代だからこそ、自社にとっての働きやすい環境とは何かを話し合っていく価値は大いにあるといえる。