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2023.02.15

AREA

【vol.1】
商いの地「淀屋橋」エボリューション

01.

大阪「淀屋橋」が注目される理由

2025年に控えている大阪万博。来場者数は約2,820万人と想定され、関西圏の地域経済の活性化やビジネス機会拡大を元にした中小企業の発展により、2兆円の経済波及効果が見込まれています。東京の一極集中に対し、長らく地盤沈下が叫ばれてきた大阪。関西経済の起爆剤として期待されるこの一大イベントを前に、会場となる夢洲エリアや周辺地域ではインフラ整備や開発プロジェクトが急ピッチで進められています。
大規模な都市再開発が相次ぐ大阪のなかで、特に注目が高まっているのが淀屋橋。この一帯は「都市再生緊急整備地域」と「特定都市再生緊急整備地域」に指定され、高規格オフィスの実現など業務機能の高度化や、ビジネスサポート機能としての高級賃貸レジデンスの導入など、多様な機能をあわせ持つ国際レベルのビジネス地区を形成することが地域整備方針として掲げられています。これまで淀屋橋は御堂筋の玄関口という好立地にありながら、御堂筋沿道街区では細分化された土地利用の状況にありました。

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しかし、市街地再開発事業により、御堂筋を挟む「淀屋橋駅西地区」と「淀屋橋駅東地区」で敷地・建物を共同化する建替事業が進められ、その様相を大きく変えようとしています。再整備が進めば、駅直結で利便性の高いハイグレードオフィスをはじめ、緑豊かなオープンスペース、中之島を一望できるビュースポット、水辺のにぎわい空間など、新たなランドマークが次々と誕生。また、環境や安全・安心に配慮したサステナブルな街を目指し、施設の省エネルギー化や都市の低炭素化、防災性能の向上なども推し進められています。多様な都市機能を高度に集積し、大阪の顔にふさわしい新拠点として生まれ変わろうとしている淀屋橋。大阪、関西のみならず、日本の成長をけん引する国際競争力と魅力を備えた街へと躍進していくこの街には、まだまだ多くのビジネスチャンスが秘められています。

02.

はじまりからビジネス「淀屋橋」

かつてはススキや葦が生い茂るばかりの砂地であった中之島。しかし、江戸時代の豪商「淀屋」は、堂島川と土佐堀川に挟まれ、水運に恵まれた土地であることに目をつけ、ここを物流拠点として発展させようと計画します。その狙いは見事的中。中之島には諸藩の蔵屋敷と、全国各地から集められる年貢米を蓄えるための米蔵が集中的に建設され、日本中の物資の集散地となりました。川べりには米や諸物資を満載した北前船が集まり、大変なにぎわいだったと伝えられています。さらに淀屋は諸大名の蔵屋敷に集積される蔵米の販売を一手に引き請けて、米市場を設立。そこへ行き交う仲買人の利便性を図るために、自費で架けた橋が「淀屋橋」のはじまりといわれています。米市は橋の南詰の路上で行われていましたが、元禄10(1697)年頃、堂島へ移転。当時の淀屋の隆盛ぶりは目を瞠るほどで、「北浜の米市は、日本第一の津なればこそ、一刻の間に、五万貫目のたてり商もある事なり」と、井原西鶴が『日本永代蔵』のなかで描いています。

「淀屋橋と日本銀行」大阪市立図書館デジタルアーカイブより

「淀屋橋と日本銀行」大阪市立図書館デジタルアーカイブより

「大正末年の淀屋橋筋」大阪市立図書館デジタルアーカイブより

「大正末年の淀屋橋筋」大阪市立図書館デジタルアーカイブより

こうして淀屋が興した米市場はのちの堂島米市場となり、「天下の台所」として商都・大阪の発展を支える一大拠点となりました。近代取引所に通じる会員制度、精算機能などが整えられた堂島米市場は、日本における取引所の起源とされるとともに、世界における組織的な先物取引所の先駆けとして広く知られていくことになります。また、堂島米市場で形成された米価は、飛脚や旗振り通信などによって江戸や地方の主要都市まで伝えられ、各地の米相場の基準となりました。ここで培われた取引制度や慣行の多くが明治以降の商品・証券・金融先物取引所に受け継がれていったのです。時代を重ね、政商として知られる五代友厚らによって金相場会所跡に大阪株式取引所(現在は大阪取引所)が開設されるとともに、有力な両替商らによって銀行が設立。証券会社や保険会社も続々と誕生し、淀屋橋エリアは金融・証券の街として存在感を発揮していきました。バブル経済の崩壊やリーマンショック、日本の人口構造の変化など、さまざまな困難に直面しながらも、現在に至るまで関西および日本有数の経済の中心都市として発展を続けてこれたのは、自由闊達で進取の気性に富んだ大阪商人の存在があったからだといえるでしょう。世界に先駆けて先物取引を開始するなど、先見の明と斬新なアイデアでビジネスチャンスを切り拓き、街に活気を与えてきた彼らの企業家精神は、今なおこの淀屋橋の地に脈々と受け継がれています。

03.

新しい環境と労働意欲

今、従業員エンゲージメントという言葉が注目を集めています。「会社に貢献したい」という社員の自発的な意欲を指し、自社への愛着度や理念・ビジョンへの共感度などで計られます。世界的な調査会社である米ギャラップが2017年に世界各国の企業を対象に実施した従業員のエンゲージメント(仕事への熱意度)調査※によると、日本は熱意あふれる社員の割合が6%しかなく、調査対象139カ国中132位と最下位クラスだったことがわかりました。社員の労働意欲の低下や惰性的な労働姿勢は、非生産的であるだけでなく、そのネガティブなムードはウイルスのように驚くべき速さで波及していくと同社は説いています。では、従業員エンゲージメントを高めるために、企業はこれから一体どうしていけばいいのか。その方法の一つとして、「場」の重要性が示唆されています。

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従業員エンゲージメントを構成する要素は、企業の社会的認知度や自分への評価、人間関係、成長可能性などいくつかありますが、組織への適合感を高める重要要素として位置づけられているのが「職場環境」です。職場環境を再考することは、従業員エンゲージメントを向上する有効な施策。ここで注目したいのが、都市再開発で勢いを増すビジネスエリアです。再開発によりオフィス内だけでなく周辺環境も変わることで、働くステータスを得やすい一石二鳥のエリアと言えるでしょう。それが大阪の発展を支えてきた歴史を持ち、今また再出発を遂げようとしている淀屋橋のようなブランド力のあるエリアならなおさらです。都市の再開発はそこで過ごす人々やビジネスに大きな変化をもたらし、世界中から人・モノ・投資を呼び込みます。多様な人々が活発に交流し、新たなビジネスチャンスやイノベーションにあふれ、働く喜びを感じられる魅力ある街。そこにこそ、停滞する日本の従業員エンゲージメントを高め、企業の持続的な成長を図る鍵があるはずです。

※State of Global Workplace

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