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2024.08.21
WorkPlace
「30代ビジネスパーソン」と「学生」比較―オフィスに関するアンケート調査レポート―
01.
オフィスに対する意識は、年代ごとに異なるのか?アンケートを通して検討したい将来のオフィスの在り方
企業が直面する課題は多岐にわたるが、その中でも「人材不足」は近年、売り手市場と呼ばれる状況下で大きな課題となっている。人材不足に対処するためには、「新卒採用」と「中途採用」、そして忘れがちではあるが「人材流出防止」といった解決策が挙げられる。今回は、転職市場の中心でもあり、企業の中心として活躍する30代と、これから社会に出る20代の学生に焦点をあて、彼らが職場を選ぶ際に何を重視し、どのような意識を持っているのか、オフィスアンケートをもとに比較していく。
■30代ビジネスパーソン向け調査概要「オフィスに関するアンケート」
- ・回収期間:2024年3月15日〜2024年3月16日
- ・調査対象:①居住地:埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県②年齢:30〜39歳 ③性別:男女 ④職業:会社員(正社員・契約社員) ⑤業種:建設業,製造業,情報通信業,金融・証券・保険業,不動産業,サービス業,運送・輸送業,電気・ガス・水道業,商社・卸売り・小売業,医療・福祉,教育業
- ・サンプル数:n=300
- ・調査手法:インターネット調査
■学生調査概要「オフィスに関するアンケート」
- ・回収期間:2023年1月16日〜2023年1月16日
- ・調査対象:①居住地:埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県②年齢:20〜24歳 ③性別:男女
- ・サンプル数:n=300
- ・調査手法:インターネット調査
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会社選びについては社会人の方が現実的、「働き方」を重視
30代ビジネスパーソンには「もし転職するとしたら」という前提で、それぞれに重視したい企業のポイントを選んでもらった。30代は「給与・賞与」「業績の安定」についての目線が学生よりも高く、学生が重視する「社風や社員の人柄」「会社の雰囲気」などは少ない。「フレックスタイム制度の有無」と「在宅制度の有無」、「勤務地の立地」を重視する傾向にあるあたりが、現代の働き方を変えようという意識の高さと伺える。
あなたが転職・就職で重視するポイントを5つ選択してください
オフィス空間で最重要視するのは、共通して「職務スペース」
オフィス内環境で重視するスペースは、30代・学生ともに「職務スペース」が最も多かった。すでに働いている30代はもちろんのことだが、学生についても割合が高かったのは、新型コロナウイルスの影響でリモートでの受講が増えたことや、大学施設の充実化に伴って自習室が増加したことなどから、自分専用のスペースへの意識が高まったためだと思われる。
男女によるギャップが顕著だったのが、オフィスアメニティに関する意識について。女性が圧倒的にトイレ・リフレッシュスペースに対しての期待値が高く、すき間時間の気分転換、一呼吸してほっとできる場所についての感度の高さが見て取れる。
一方で、「会議室」は男性が女性よりも重要視する傾向にある。対面での来客対応・オンラインでのWEB会議用など、社内外とのコミュニケーションの用途に合わせた空間を必要とする声が多い。個人の空間(職務スペース)・自社の空間(リフレッシュ・コラボスペース)・外部接点の空間(会議室)、それぞれに対する組織としての工夫が社員満足度・エンゲージメントに繋がる大きな要素であるため、“良い”タイミングで提供することにより強い組織作りを後押ししていきたい。
オフィス内環境の中で重視したいスペースは?
オフィス内環境は約8割が「仕事に影響する」と回答、
年代に関係なく「仕事のモチベーション」に影響を与えていることが判明
オフィス内環境は、仕事をする上で
どれくらい影響を与えると思いますか?
「かなり影響がある」「やや影響する」の合計は30代と学生のどちらも約8割で、大半が「影響する」と感じているよう。特に、学生は「かなり影響がある」と回答した比率が30代よりも多く、働くことへの憧れやこれから就職する会社への期待が表れたと言えそうだ。
また、オフィス内環境が何に影響するかについては、30代も学生も「仕事のモチベーション」と回答した人が最も多く、従業員のモチベーションの向上にはオフィス内環境が重要であると裏付ける結果となった。しかし、30代は学生と比較すると10%も落ちており、その分「身体面・精神面の健康」が学生よりも多くなっている。これは実際に会社で働いてきた経験をもとにした貴重な意見と言えるだろう。
オフィス内環境の良さは、
何に最も影響を与えると思いますか?
30代社員と新人社員のオフィスに求める環境のギャップについて
昨今、働く環境の改善について注目度が年々増し、企業課題としての認識もかなり高い。そんな中で、年代ごとの従業員がオフィスへ期待することについての傾向をキャッチしたいと思い、それぞれのアンケート結果から傾向を導き出した。
企業が着目すべき空間や勤務スタイルは以下のようになった。
まとめ
- 1優秀な人材獲得(学生・中途採用):職務スペース・トイレ・リフレッシュ空間
- 2エンゲージメント向上による人材流出の歯止め:フレックス・在宅ワーク・勤務立地
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02.
オフィス環境の改善がもたらす効果は、人材不足解消にとどまらない
転職先や就職先を選ぶ際に重視するポイントは年代によって順位や割合が変わることもあるが、その傾向は大きく変わらない。オフィス内環境の中で重視したいスペースについての回答にややばらつきが出たが、従業員が求める適切なオフィス環境は画一的なものではなく、多様であることがうかがえる。
今回のアンケートは、オフィス環境は年代を問わず仕事に影響を与え、仕事へのモチベーションに直結することの裏付けとなった。オフィス環境の改善は人材獲得に対する課題だけではなく、様々な課題への波及効果も期待できるため、オフィス改善の優先順位を高く考える企業が増えていることを実感している。従業員と経営者との間で意見の擦りわせを行い、オフィスに対する考え方を交換することも重要。
将来のオフィスの在り方|時代が求める働き方・オフィスの変化を感じ取っていく
これから、オフィスにはICT(情報通信技術)で代替できないことだけが残る時代が到来する。オフィスでしか体験出来ない、利用できない特化された機能が必要とされ、そういったオフィスをつくるには、自社の価値観や戦略を明確に設定し必要な機能を絞り込むことが重要だ。
オフィスの在り方や選択肢はどんどん多様化の一途を辿る。何でもあり得てしまう時代に、どう価値を生み出すのか。とても大きな課題であるが、次の一手を常に探求していく。