
2025.04.30
Project Story
虎ノ門アルセアタワープロジェクト
国際ビジネス拠点にふさわしい資質を備えた虎ノ門に2025年2月、虎ノ門アルセアタワーが竣工。中高層部に高機能のオフィス、低層部に国際的なビジネス活動をサポートする業務支援施設や商業施設を配し、自立性の高いエネルギーシステムの採用による災害対応や地上、デッキ、壁面に植栽を配置するなど環境にも配慮した高機能物件です。開発に携わった瀬戸達也さん、山本雅之さん、宮本誠己さんに開発ストーリーを聞きました。

- 首都圏事業本部
グループ長 - 瀬戸 達也さん

- 首都圏事業本部
マネジャー - 山本 雅之さん

- 首都圏事業本部
- 宮本 誠己さん
Background
インフラ系デベロッパーの強みを生かしプロジェクトに参画
―― 虎ノ門アルセタワーの開発に携わることになったきっかけを教えてください。
山本 本事業は国際的なビジネスエリア虎ノ門での約2.9haの大規模再開発です。当社は、関西圏では大規模オフィス開発の実績が多数ありますが、首都圏では実績がなく、東京で大規模開発に携わるというのは大きな目標でした。そんななか、虎ノ門アルセアタワーのメイン事業者である日鉄興和不動産さまからお誘いいただき、日鉄興和不動産さま、第一生命さま、東京ガス不動産さま、JR九州さま、大成建設さまの6社合同で入札に参加することになりました。
提案型入札で、入札金額だけでなく、ビルの価値を如何に上げていくかが落札できるか否かのポイントになり、関西電力のグループ会社である当社は、インフラ系のデベロッパーとしてエネルギーの効率化やビル全体の省エネ・電気料金の削減につながる提案を行い、落札することができました。
競合先に競り勝ち、首都圏大規模開発に携わるという1つの目標達成が達成できたことは、ほっとすると同時に身が引き締まる思いでした。
―― 虎ノ門アルセアタワーでの関電不動産開発ならではの提案とはどんなものでしょうか?
山本 主に環境負荷低減に向けたエネルギー関係の提案です。1つは地域冷暖房(DHC)とコージェネレーションシステム(CGS)の連携などによりエネルギーの効率的利用を実現していますが当社も省エネにつながるエネルギーマネジメントシステムを導入し、共用部分の電気代削減に協力していきたいと考えています。
様々な取り組みにより、虎ノ門アルセアタワーでは、「ZEB Oriented」認証(事務所部分)、「CASBEE建築(新築)」Sクラスを取得しています。

Point
国際ビジネスパーソンが働きやすいオフィス環境づくり
―― 虎ノ門アルセアタワーの特徴を教えてください。
山本 虎ノ門は霞が関に近接し、大手企業や外資系企業が集まるエリアです。エリア特性を考慮し、外国人に対応したサービスを充実させていることが特徴の1つです。具体的には、ビル3Fに国際ビジネスサポートセンターを設置。外国語対応のできるコンシェルジュを設け、外国人へのサポートサービスを行うほか、テナントさま向けにも接待店舗の予約や手土産手配等を行います。
加えて、多様な働き方を実現するオフィスビルであることも特徴です。近年、企業同士でタッグを組みプロジェクトを推進することが多くなっています。この状況を鑑み、当オフィスビルでは、シェアオフィスや数人規模のミーティングから大規模なセミナーまで対応するコンファレンスを設置しています。また、フィットネスルームや駐輪場も配し、職住近接のビジネスライフを支えます。

虎ノ門アルセアタワーの壁面緑化
瀬戸 物件自体も容積緩和要件として「国際ビジネスパーソンが働きやすくなる環境整備」が盛り込まれるなど、国際的な企業の誘致に力を入れています。
また、物件エリアは第一種市街地再開発地域であり、今後、大規模な緑地が整備されていきます。虎ノ門アルセアタワーでも壁面緑化を取り入れ、周辺環境と一体化した自然が感じられるオフィスビルであることも特徴です。
Prospects
首都圏大規模開発
―― 6社合同での大規模開発ですが、 開発にあたり苦労した点をお教えください。
山本 当社が虎ノ門アルセアタワー開発に取り組むにあたっては特定目的会社をつくり、不動産を証券化することで大規模開発にかかる資金を調達しています。自社資金でビルを建て、テナントを募集する中小規模ビルと異なり、不動産投資にレバレッジの効果を活用することで投資に見合うリターンを高めることが成果です。金融に関する知識が求められ、苦労した点でもありますが、新たな知識を身に付ける絶好の機会だったと考えています。
瀬戸 6社でチームを組み参画した今回のプロジェクトですが、考えが異なる部分も多々あり、1つ1つすり合わせていく難しさはありました。コロナ禍ということもあり、対面での打ち合わせが叶わず、リモートで意思決定をしていくことにやりにくさを感じていたことを思い出します。
反面、同じ課題に対しても各社異なる解決策を持っており、各社の知見を得ることができたのは成果の1つだと捉えています。
―― 万博などによる建築資材の高騰等のニュースに接することが多いのですが、建築自体は順調に進んでいったのでしょうか。
山本 コロナ禍では建設現場に入る人数が制限されたり、建築資材が高騰したりという状況はありました。ただ、大成建設さんの力で2025年2月無事竣工を迎えることができました。
順調にテナント様も決まりつつあり、収益性も悪くない状況で推移しています。日本全体の不動産価格向上を鑑みると、さらなる収益性向上を期待しています。
―― 虎ノ門アルセアタワープロジェクト、東京での大規模オフィス開発第一号ですが、今後の展望をお教えください。

山本 プロジェクトを通じて首都圏の開発規模の大きさを実感しています。今後も首都圏での大規模開発は、複数社合同で、不動産を証券化し資金調達するSPCがメインになってくると捉えています。今回のプロジェクトを通じて、不動産ファンド企画・運用に長けた方々と仕事を進めるなかで、自身に足りない部分や課題が見つかりました。より高みをめざし、成長していきたいです。
宮本 私は入社5年目で、開発が一通り終わり、テナント誘致の段階からプロジェクトに参加しました。虎ノ門アルセアタワーは1フロア1,000坪と従業員数では300人ほどが入るビルです。大規模物件ならではのリーシングに携わることができ、視座を1つあげることができたと感じています。
今後首都圏市場を拡大していくには、開発型SPCの知識が不可欠。もっと金融の知識を身に付け10年目、15年目になったとき主体的にプロジェクトを推進できる力をつけていきたいです。
瀬戸 虎ノ門エリアは「世界で一番ビジネスがしやすい環境」を創出することを目的に創設された国家戦略特区に指定されています。東京都は外国人を呼び込む「職住近接の空間づくり」を掲げており、それを実現するオフィスビルの1つが虎ノ門アルセアタワーです。都内でも注目されるエリアで開発に携わることができ、当社の首都圏での知名度・信頼性向上に繋がる開発だったと捉えています。
また、関西電力グループとして、グループ収益最大化を掲げているなか、グループ各社の力を生かした開発ができたことも成果です。
今後は、首都圏での再開発により一層力を入れていきます。

虎ノ門アルセアタワー
https://office-kanden-rd.com/office/488/
国際都市にふさわしい高度医療に対応した虎の門病院をはじめ、防災・災害対応機能、緑道や広場を備えた複合市街地虎ノ門に立地するオフィスビル。
虎ノ門アルセアタワー周辺は大使館や外資系企業が多く国際色豊かなエリアであり、近年大規模な都市開発が進み、さらなる発展が期待されています。多様性あふれるこのエリアにふさわしいオフィスビルとして、入居されるテナントをはじめ建物を訪れるすべての人に対し、多様な働き方やリフレッシュの場を提供することを通じて、QWL(Quality of Work Life)をサポートします。