2026.06.29

フリーアドレスとは|導入のメリット・効果、
デメリット例を解説

本記事は、フリーアドレス導入に興味がある、もしくは検討している方向けに、まず初めに知りたい、その 「メリット・効果やデメリット、具体的な取り組み例」 といった基本的な事項について、理解しやすい様にできる限り具体的な事例を挙げながら解説した記事です。

01.

「フリーアドレス」とは

フリーアドレスとは、従業員が固定の決められた席を持たず業務内容や目的に応じて、自由に働く場所を選択できる席で働けるオフィス運用スタイルです。

書類や文具は共有の場所に保管して、ノートパソコンやスマートフォンを活用し、柔軟で効率的なワークスタイルを実現します。

画像提供:丹青社 撮影:高橋 海[mapo.] 
■関電不動産開発 大阪本社オフィス

フリーアドレスが向いている職種の参考例としては、以下が挙げられます。

【フリーアドレスが向いている職種の参考例】

  • 営業・企画部門
  • PC内で仕事が完結するため、働く場所に縛られずにできる職種

一方で、事務職の総務や人事、経理などのコーポレート部門の方や、セキュリティレベルの高い情報・資料を扱う職種の場合は、固定席の方が業務効率向上、セキュリティリスクの予防の面で優れていることもあります。

導入の可否は、業務内容や部門特性を踏まえて判断することが重要です。

Q: 「フリーアドレス1.0」 と 「フリーアドレス2.0」 とは?

フリーアドレスはそもそも1987年3月に、オフィススペースの削減を目的とする世界初の施策として清水建設の技術研究所が提唱したもので、2つの概念が存在します。

1つは、1980年後半から2000年代にかけて導入されていた 「フリーアドレス1.0」 で、2つ目は2000年代以降に発展した 「フリーアドレス2.0」 です。

両者の大きな違いとしては、ICT(情報通信技術)の進化が挙げられます。

コスト削減を目的とした1.0に対して、2.0はコストに限らず、社員の働きやすさや生産性の向上を目的とした、いわば 「働き方改革」 を目的としたものとなっています。

1-1. 「フリーアドレス」 と 「ABW」 との違い

フリーアドレスの他に、ABW(Activity-Based Working)というワークスタイルがあります。

両者とも、固定された座席を持たずに働くという点では共通しています。

違いとしては、フリーアドレスが、オフィス内であればのどこでも座って働いてよいという点に留まるのに対して、ABWはオフィスに限定されず、自宅をはじめとして、勤務場所や時間が、柔軟に選べるという点が挙げられます。

ABWについて詳しくは以下の記事をご覧ください。 関連記事:今、オフィスの主流になりつつある 「ABW」 とは?(※2023.12.18掲出)

1-2. 「フリーアドレス導入」 の手順

フリーアドレス導入の手順を簡単にまとめました。

【フリーアドレス導入の手順】

  • 導入目的や方針を明確化する
  • 社内で具体的な検討事項を話し合う
  • 運用ルールを明文化して共有する
  • 一部の部門から試験的に導入する
  • 試験導入で分かった課題や改善点を踏まえ、全社へ展開していく

フリーアドレスは自由度が高いため、社内で理解を得たうえで段階的に進めることで、円滑な浸透が図れますスムーズに受け入れられるようになります。

必要に応じて、座席管理ツールなどを利用することをおすすめします。

02.

「フリーアドレス導入」 の
メリット・効果例

フリーアドレス導入で期待できるメリット・効果の例として、以下が挙げられます。

【フリーアドレス導入のメリット・効果例】

  • コミュニケーションの活性化
  • スペースの有効活用
  • 従業員の生産性向上
  • コスト削減

以下、それぞれの具体的な中身について解説します。

image photo

メリット①:コミュニケーションの活発化

フリーアドレス導入の代表的なメリットが、社内コミュニケーションの活性化です。

固定席では関わる相手が固定化しがちですが、フリーアドレスでは日によって座る場所が変わるため、これまで接点の少なかった他部署のメンバーと隣り合う機会が自然と増えます

そのため、部門を越えた偶発的な会話から新しいアイデアや連携が生まれやすくなり、組織全体の風通しが向上。

テレワークと組み合わせた働き方改革を進める企業にとっても、出社時の交流価値を高める有効な施策と言えます。

メリット②:スペースの有効活用

オフィススペースの有効活用も、フリーアドレス導入で得られる大きな効果です。

固定席のオフィスレイアウトでは、外出や出張、休暇で不在の社員のデスクも常に空けておく必要があり、限られた面積を効率的に使えません。

フリーアドレスなら実際の出社人数に合わせた席数で運用できるため、無駄なスペースが生まれにくくなります

空いた面積をミーティングスペースやリフレッシュエリアに転用すれば、付加価値の高いオフィス環境へと再構成できます。

メリット③:従業員の生産性向上

フリーアドレスは、従業員の生産性向上にもつながります。

業務内容に応じて働く場所を選べるため、集中作業には静かな席、議論にはオープンスペース、Web会議には個室といったように、目的に最適な環境を社員自身が選択できます

こうした働き方はABWの考え方とも親和性が高く、仕事の性質に合った場所で働けることで集中力が高まり、一人ひとりの業務効率と生産性の向上が期待できます。

メリット④:コスト削減

オフィスコストの削減も、フリーアドレス導入の重要なメリットです。

出社人数に応じた席数で運用できるため、オフィス面積そのものを最適化でき、賃料や光熱費、事業所税(該当する場合)といった固定費の削減につながります。

さらに、書類のデータ管理によるペーパーレス化を進めることにより、保管スペース・印刷コストを縮小することが出来、エコロジーにも寄与します。

初期投資はかかりますが削減できた費用を設備投資や働く環境の改善に充てることで、コスト最適化と従業員満足度の向上を両立する好循環を生み出すことが出来ます。

03.

「フリーアドレス導入」 の
デメリット例

フリーアドレス導入のデメリットとしては、以下の点が挙げられます。

【フリーアドレス導入のデメリット例】

  • 従業員の所在確認の手間
  • 座席の確保に時間がとられる
  • 持ち物の管理や移動が難しい
  • オープンスペースの物音のノイズ化

以下、それぞれの具体的な中身について解説します。

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デメリット①:従業員の所在確認の手間

フリーアドレス導入のデメリットとしてまず挙げられるのが、社員の所在が分かりづらくなる点です。

座席が固定されていないため、 「あの人が今どこにいるのか分からない。」 という状況が起こりやすくなり、急ぎの相談や対面確認の際に手間が生じます

特に人数の多いオフィスでは所在の把握が難しくなりがちです。

位置情報が分かるツールや座席管理システムを導入し、円滑なコミュニケーションを支える仕組みづくりが欠かせません。

座席管理システムをはじめとして、IoTやAIなどの先端技術を活用してオフィス環境を最適化する 「スマートオフィス」 について、詳しい内容を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 関連記事:スマートオフィスとは|導入のメリット・効果、デメリット例を解説(※2026.5.29掲出)

デメリット②:座席の確保に時間がとられる

フリーアドレスでは、毎日の席探しに時間がとられる点もデメリットの一つです。

出社のたびに 「どこに座るか」 を決める手間が発生し、出社が集中する時間帯や繁忙期には、空席を探すだけで時間がかかり業務効率を下げてしまうこともあります。

こうした課題には、座席予約システムの導入が効果的です。

事前に席を確保できる仕組みを整えることで、社員がスムーズに業務を開始でき、フリーアドレスの利便性を高められます。

デメリット③:持ち物の管理や移動が難しい

固定席がないフリーアドレスでは、持ち物の管理や移動の手間がデメリットになります。

業務に必要な書類や文房具、私物などを毎回持ち運ぶ必要があり、荷物が多い社員にとっては負担になりやすく、移動のたびの片付けや準備もストレスにつながります。

個人用ロッカーの設置やペーパーレス化を進め、持ち歩く荷物そのものを減らす工夫をすることで、こうした不便さを大きく軽減し、運用を定着させやすくなります。

デメリット④:オープンスペースの物音のノイズ化

オープンなオフィスレイアウトになりやすいフリーアドレスでは、交流を促す一方で物音や雑音が集中の妨げになる場合があります。

周囲の会話や電話の声、人の移動などが気になり、静かな環境で作業したい社員にとって生産性の低下を招く可能性があります

対策として、集中ブースや静音エリア、Web会議用の個室などを用意し、目的に応じて働く環境を選べるようにすることが、快適なフリーアドレス運用のポイントとなります。

04.

フリーアドレス導入に
失敗しないためのポイント

フリーアドレス導入に失敗しないために押さえておきたい主なポイントは、以下の通りです。

【フリーアドレス導入に失敗しないためのポイント】

  • 導入目的を社内で十分に共有する
  • 位置情報が分かるツールを導入する
  • 行きたくなるスペースづくりをする
  • 運用ルールを定める
  • ペーパーレス化を行う

フリーアドレス化を失敗しないためにまず重要なことは、導入する目的を社内で十分に共有し、納得してもらうことです。

社員自身が不満を抱えたままで取り入れてしまえば、うまく環境を活用できずに、むしろ業務の効率が下がるケースもあります。

また、単に形だけを導入するのではなく、社員が快適かつ効率的に働ける環境を整えることが重要です。

デメリット部分に通ずる、所在が分かりづらい、持ち物の管理や移動が難しいといった課題を事前に解消することで、失敗に終わらずスムーズな導入が実現できます。

単発ではなく、 「働きやすい環境づくり」 という一貫した視点で総合的に体制を整備し、導入後も改善を続けることが、定着への近道です。

05.

フリーアドレス導入事例

フリーアドレス導入の想定事例を、以下の通り3点紹介します。

  • 事例1
    「部署混在のレイアウト」 と 「行きたくなるスペースづくり」により、社内の横断的なコミュニケーションの活性化を実現したD社
  • 事例2
    「出社状況に応じた座席数の最適化」 により、オフィスの増床を回避し、スペースの有効活用とコスト削減を両立したE社
  • 事例3
    「座席管理ツール」 と 「ペーパーレス化」を組み合わせ、フリーアドレスのデメリット(在席確認・ワークツール持参の手間)を解消しながら生産性向上を図ったF社

事例1:社内の横断的コミュニケーションの活性化を実現したD社

フリーアドレスを導入し、部署の垣根を越えた横断的なコミュニケーションの活性化を図った事例です。

【導入内容】
  • 部署を固定しない混在型のフリーアドレスレイアウトへの移行
  • カフェスペース・コミュニケーションスペースの設置
  • 偶発的な交流を促す共有スペースの整備
導入前の課題

D社では、部署ごとに固定席の 「島」 が分かれており、日常的な会話が同じ部署内で完結してしまう状態でした。

その結果、他部署が何に取り組んでいるかが見えにくく、組織が縦割りになりがちで、部門を横断した連携や新たな発想が生まれにくいという課題を抱えていました。

導入後の効果

D社では、部署を固定しないフリーアドレスへ移行したことで、これまで接点の少なかった社員同士が自然と隣り合わせになり、日常的に会話が生まれる環境へと変化しました。

また、単に席を自由にするだけでなく、社員が 「行きたくなる」 カフェスペースや交流スペースを充実させたことで、オフィスそのものの魅力が高まり、出社したくなる意欲が向上しました。

さらに、部署を越えた偶発的なコミュニケーションから新たな企画やアイデアが生まれるようになり、若手社員も発言しやすい雰囲気が醸成され、組織全体の一体感の向上にもつながっています。

事例2:限られたスペースの有効活用とコスト削減を両立したE社

実際の出社状況に合わせて座席数を最適化することで、オフィスの増床(契約面積の拡大)を回避し、スペースの有効活用とコスト削減を両立した事例です。

【導入内容】
  • 固定席を廃止したフリーアドレスオフィスへの移行
  • 出社率に応じた座席数の見直し・最適化
  • 集中ブース・少人数ミーティングスペースの設置
導入前の課題

E社では、社員数の増加に伴い 「席が足りない」 という声が挙がる一方で、テレワークの併用により、実際には固定席の多くが空席になっているという矛盾を抱えていました。

このまま増床すれば賃料などのコストが増加するため、限られたスペースの有効活用が課題となっていました。

導入後の効果

E社では、固定席を廃止して完全な座席選択式フリーアドレスへ移行し、実際の出社率に合わせて必要な座席数を見直したことで、社員数が増えても増床することなく対応できるようになりました。

これにより、増床に伴う賃料や光熱費、事業所税の増加を回避できました。

さらに、捻出されたスペースを集中ブースや少人数向けのミーティングスペースへと転用したことで、限られた面積をより付加価値の高い形で有効活用できるようになりました。

事例3:フリーアドレスのデメリットを解消しながら生産性向上を図ったF社

フリーアドレスのデメリットを 「座席管理ツール」 と 「ペーパーレス化」 で解消し、社員の生産性向上を図った事例です。

【導入内容】
  • フリーアドレスオフィスへの移行
  • 座席管理ツール(在席・位置情報の可視化ツール)の導入
  • 書類の電子化・クラウド保管によるペーパーレス化
導入前の課題

F社では、オフィス移転を機にフリーアドレスの導入を検討していました。

しかし、社内で意見を募ったところ 「誰がどこにいるのか所在が分かりづらい。」 「席を移動するたびに書類や持ち物を運ぶ負担が大きい。」 といったフリーアドレスのデメリットを懸念する声が多く挙がっていました。

導入後の効果

F社では、これらの意見を踏まえ、新オフィスで座席管理ツールを導入し、社員の在席状況や所在をリアルタイムで把握できる環境を整えました。

また、書類を電子化してクラウドで共有できるようにしたことで、席を移動するたびに紙の資料を持ち歩く必要がなくなり、フリーアドレスならではの身軽な働き方が定着。

これらの取り組みによりフリーアドレスのデメリットが解消され、社員は業務内容に応じて最適な場所を選びながら集中して作業に取り組めるようになり、組織全体の生産性向上につながっています。

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むすびに

弊社でも、大阪・東京のオフィスともにフリーアドレスを導入し、知的生産性やエンゲージメント向上のために社員の目線に重きを置いた環境づくりを推進しています。
フリーアドレスがもたらす一長一短を経験し、トライ&エラーを重ねながらより良い働き方を日々考えています。

大阪本社を構える中之島ダイビル内オフィスや、首都圏事業本部を置く“関電不動産八重洲ビル”など、一部写真を掲載します。また折に触れて、ご紹介させてください。